水みらいプロジェクト2024では、県下4つの小学校が「チャレンジ!学校水族館」の企画に取り組みました。各校の児童たちは、校下の川や海、ビオトープで採集した水生生物を飼育・観察するなかで、試行錯誤しながら、生きものが棲む地域の自然環境、いのちの大切さを学びました。今回は、地域ならではの特徴的な水生生物に着目し、クラスメートや保護者、他校の児童に向けた発表では、劇やイラストを活用するなど、より学んだことが伝わるよう工夫を凝らす児童が目立ちました。その姿はテレビの特別番組で放映され、野外での体験教育の重要性が表れていました。
本プロジェクトを実施するにあたり、成功に導いてくださった参加各校の教員、保護者・地域の方々、魚津水族館の皆様などに対し、深い感謝の意を込めてこの記録集をお届けします。あわせて今後も一層のご協力ご支援をよろしくお願いいたします。
水みらいプロジェクト2024実行委員長
竹内 章
富山市立宮野小学校。
上級生から受け継いだ学校水族館の魅力を高めるために、
まずは、水槽の生き物を増やすことにしました。
9月、5年生の児童がやってきたのは学校近くを流れる合場川です。
サポートしてくれるのは魚津水族館の不破さんと齋藤さん。捕まえ方を教えてもらってから、生き物探しがスタート!
集めた生き物はなんと10種類以上!学校水族館に、たくさんの新しい仲間が増えました。
12月、水槽に新たな仲間を加えてから2カ月が経ちました。
児童たちは魚津水族館を訪れていました。学校水族館の展示の仕方を学ぶためです。
水族館をまわって、いろいろな水槽の工夫を学びました。 そして質問タイムでは…
年が明けた1月、水槽の手前には石が置かれ、隠れた魚たちの様子がよく見えます。児童たちは魚津水族館で学んだことを早速実践していました。
1週間後には、保育園の園児たちに学んだことを発表します。園児たちが楽しめるように、いろいろな工夫をしました。
いよいよ本番の日、児童たちは、どんな発表を用意したのでしょうか。
発表は園児たちにもわかりやすいように、絵を使い、川の中の生態系を劇にしました。
園児たちは、興味津々で話を聞いていました。
さらに、クイズゲームも…園児たちは身近な生き物を楽しく学びました。
つづいては、射水市立大門小学校の4年生。
4月、小学校近くを流れる鴨川の生き物を調べました。
魚津水族館の不破さんと齋藤さんに加え、学校のビオトープアドバイザーも参加しました。
ふるさとの川で児童たちはどんな生き物を見つけるのでしょうか。
しかし、この綺麗な川でも外来種が…
驚くべきは、アメリカザリガニの多さです。
捕まえたアメリカザリガニは魚津水族館へ持ち帰り、 他の生き物は川にかえされました。
大門小学校にはビオトープがあります。生き物調査を始めてから2週間後、児童たちはビオトープの生態系について学びました。
水路に沿って進むと、池にたどり着きました。 ここには、どんな生き物がいるのでしょうか。
多くの生き物を育むビオトープ その意味について児童たちは学びます。
そして、児童たちはビオトープの生き物を通して、生物多様性を学びました。
ビオトープの学習を始めて4か月。児童たちは、川やビオトープで学んだことについて発表準備を進めていました。
練習を繰り返した児童たち、本番ではどんなふうに伝えてくれるのでしょうか。
発表会当日、まずは、各組がそれぞれの教室で学習成果を披露します。発表は保護者が見守る中で進められました。
絶滅危惧種、生物多様性、ゴミ問題、そして地球温暖化に至るまで、児童たちは様々なテーマで発表しました。
そして、伝える方法にも工夫を凝らしました。
初めて水みらいプロジェクトに参加した黒部市の中央小学校で、9月、3年生およそ60人が生き物調査のために、布施川にやってきました。
どんな生き物に出会えるのか、児童たちはわくわくしていました。
布施川には一体、どんな生き物がいるのでしょうか。
しかし、調査の日の川の様子は…
流れが速く、そして、水かさが多い日の布施川。生き物と会えるのでしょうか
それでも、児童たちはすぐコツを掴んで、 次々と生き物を捕まえます。
清流の女王とも呼ばれるアユ、布施川の自然の豊さを表しているともいえます。児童たちは自分たちが捕まえたアユに興奮気味です。
捕まえた生き物は学校の水槽に入れました。児童たちは、これからは何を発見し、どんなことを学んでいくのでしょう。
10月、飼育を始めて間もなく、水槽に異変が…
自然の厳しさを知った児童たちは、魚が元気に育つコツを不破さんに聞きました。その1つは餌のやり方です。
もちろん、水槽を綺麗にすることも大事です。
観察で気がついたこと、そして自ら調べたことを記録。川の調査で学んだカニの性別の見分け方も忘れてはいないようです。
そして児童たちは、実は大発見をしていたんです。
ヒラテテナガエビは本来、西日本の暖かい地域に暮らす生き物ですが、日本海側を北上し、県内に流れ着いたと見られています。
ニュースにも取り上げられるほどの大発見でした。
1月、児童たちは学んだことを発表する準備を進めていました。
ペープサートは、紙に絵を描いて棒をつけ、動かして演じる人形劇です。その他、劇で発表をするグループもありました。
初めての川調査、そして初めての生き物飼育。発見したこと、学んだことを披露します。
本番の日。クラスごとに、およそ6ヶ月間の学習成果を発表します。
保護者のほか、魚津水族館の不破さんも会場に足を運び、児童たちの頑張りを見守りました。
ペープサートで表現したのは正しいエサのやり方です。
劇で発表したグループは、魚の縄張りの様子を演じました。魚が他の魚を追い払う様子を、児童たちはしっかりと観察していました。
高岡市立伏木小学校。
9月、海を支える活動に取り組んでいる4年生が雨晴海岸にやってきました。
伏木小学校は川ではなく、海辺での生き物調査に挑戦しました。
魚津水族館の木村さん、杉浦さんにも調査に参加しました。
児童たちは、苦戦しながらも生き物を捕まえてきました。
頑張り続けた児童たちは、ついに魚を…!
捕まえた魚はクロダイ。そのほかは、ヤドカリ、カニ、貝、エビも取れました。生き物について、木村さんに説明してもらいました。
クロダイは他の生き物を食べるそうです。学校の水槽で飼うのは難しいですが…
児童たちはクロダイを学校の水槽で飼うことを決めました。
果たして、うまくいくのでしょうか。
2週間後、児童たちは再び海岸にやってきました。クロダイと一緒に水槽に入れる魚を増やしたいのです。
魚を狙うことおよそ40分。黒い横縞が印象的なシマイサキ。そしてハゼの仲間、ドロメ2匹をゲットしました。
学校に戻って、新しい仲間を水槽に入れました。クロダイの仲間を増やす任務を達成です。
これからは飼育にチャレンジします。
魚の飼育を始めた児童たちが、図工作品を作っていました。木やひも、様々な素材は近くの海岸で拾った漂着物です。
伏木小学校では、魚を取った後、国分浜で海岸清掃を行いました。
打ち上げられていたのは、ペットボトル、プラスチック、そして流木です。清掃で海辺をきれいにするだけでなく、拾った漂着物を使って、図工作品を作り、海を守る思いを表現します。
2月。伏木小学校の水槽の魚たちは元気に成長していました。クロダイは「だいすけ」と名付けられ、体長は10センチほどになっていました。
生き物の飼育で学んだことや、この6か月間の活動経験をまとめ、他の学校の児童たちに向けた発表の準備を進めていました。
本番の日。発表はリモート形式で、同じ高岡市内の古府小学校と太田小学校の4年生に向けて行いました。
生き物調査や飼育、そして海岸清掃の経験も。
発表後は質問タイム。
児童たちは自分の思いもしっかりと伝えたようです。